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2013年12月

2013年12月 4日 (水)

非閉塞性無精子症と精索静脈瘤手術

無精子症は100人に1人いると言われており,決してめずらしいものではありません.

無精子症は,精巣内で精子を作る能力は正常でも,精路(精子の通り道である精巣上体,精管,射精管)の通過障害により精液中に精子が出て来れない閉塞性無精子症と,精巣内で精子が作られていないまたはその能力が障害されている非閉塞性無精子症に分けられます.

10数年前までは非閉塞性無精子症と診断された場合,自身の遺伝子を引き継いだ子供を授かることは諦めねばなりませんでしたが,顕微授精と精巣内精子回収術(TESE)という生殖医療技術の進歩により,可能性は決して高いとは言えませんが,子供を授かることができるようになりました.

非閉塞性無精子症における精子回収率は手術用顕微鏡を用いたTESE(micro-TESE)の場合に約40%と言われています.

今回このブログで紹介する論文はSIU(国際泌尿器科学会)の機関誌である「Urology」の2013年7月号に掲載された「Relationship Between Testicular Sperm Extraction and Varicocelectomy in Patients With Varicocele and Nonobstructive Azoospermia」です.

この論文では精索静脈瘤を合併している非閉塞性無精子症に対してmicro-TESEを行う前に精索静脈瘤手術(この研究では顕微鏡下低位精索静脈瘤手術)を施行したグループとしなかった(厳密にはmicro-TESEの時に精索静脈瘤手術を施行した)グループを比較したところ,精索静脈瘤手術を先に施行したグループの精子回収率が優れていたと報告しています.

私自身も非閉塞性無精子症の患者さんに精索静脈瘤手術を施行したところ,術後しばらくたってから,わずかですが射出精子が出現した症例を経験したことがあります.

ちなみに他の研究では,非閉塞性無精子症に精索静脈瘤手術を施行した場合,10数%の症例で射出精子が出現したと報告されています.

非閉塞性無精子症と診断され,程度の強いグレード3の精索静脈瘤を合併している症例ではmicro-TESEの前に精索静脈瘤手術を行うことが推奨されるのではないかと考えます.

*この研究で対象となった精索静脈瘤は一番程度の強いグレード3のみです.

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