« 非閉塞性無精子症でAMHが低い場合,micro TESEで精子採取率が高くなる? | トップページ | 程度の軽い精索静脈瘤であっても手術による治療効果は十分期待できる »

2024年4月 5日 (金)

不妊治療中の禁欲期間は短くて良い?

アメリカ生殖医学会の機関紙「Fertility and Sterility」3月号に男性不妊の大御所 Dr. Schlegel が「We are giving the wrong patient instructions for semen analysis before assisted reproductive technology(われわれは ART (体外受精や顕微授精) の前に精液検査に関する誤った患者指導をしている」と言う何ともセンセーショナルなタイトルのコメントが掲載されました.

要約すると「頻回の射精は古い精子を射出し,DNA 損傷の少ない新しい精子に変わっていくので,ART の治療時は禁欲期間は 1 日未満を推奨する」と言う内容です.

WHO の精液検査ガイドラインでは精液検査に対する禁欲期間の推奨は 2~7 日で,自分のクリニックでは 2,3 日の禁欲期間で精液検査を受けるようお勧めし,妊活中は週 2,3 回は射精をするよう指導していました.

Dr. Schlegel のコメントは ART に限定していますが,長い禁欲期間は古い精子(DNA 損傷のリスクの高い精子)の割合が増えて,妊活を進める上ではマイナスになることは明らかです.

毎日射精しても問題はない!は極論かもしれませんが,これからの患者さんへの説明にこの情報を活かしたいと思います.

We are giving the wrong patient instructions for semen analysis before assisted reproductive technology. Fertil Steril. 2024 Mar;121(3):426-427.

|

« 非閉塞性無精子症でAMHが低い場合,micro TESEで精子採取率が高くなる? | トップページ | 程度の軽い精索静脈瘤であっても手術による治療効果は十分期待できる »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 非閉塞性無精子症でAMHが低い場合,micro TESEで精子採取率が高くなる? | トップページ | 程度の軽い精索静脈瘤であっても手術による治療効果は十分期待できる »